ニキビに悩んでいる方にとって、クレンジング方法の見直しは自然な選択かもしれません。しかし、オイルやジェルなど様々な選択肢や、情報が多すぎて、どれが本当に効果的か判断が難しいこともあります。「クレンジングオイルがニキビを悪化させるのでは?」と悩む方も多いでしょう。
クレンジングオイルは誤解されがちですが、正しく選んで使えば、ニキビの予防と潤いのある肌の維持に役立ちます。本ガイドでは、ニキビの原因やクレンジングオイルに関する誤解、最適な製品の選び方や効果的な使い方について解説します。クレンジングオイルで理想の肌を目指しましょう。
Contents
ニキビの原因と正しいクレンジングを選ぶ上でのポイント
ニキビは、年齢、ホルモンバランス、ストレス、食生活、睡眠、さらにはスキンケア習慣など、さまざまな要素が影響する複雑な肌トラブルです。個人によって要因は異なりますが、ニキビは「毛穴のつまり」「皮脂の過剰分泌」「ニキビ菌の増殖」の3つのプロセスによって発生・悪化します。これにより、肌の潤いが失われて乾燥肌や敏感肌になり、肌の新陳代謝であるターンオーバーが乱れるという悪循環を引き起こし、ニキビがしつこく、または悪化しやすくなるのです。ニキビ対策としてクレンジングを選ぶ際には、この3つの原因を意識し、毛穴の洗浄と表皮の保湿を効果的に行う製品を選ぶことが重要です。それぞれの肌の状態や使用するメイクの種類によって求められる洗浄力と保湿力は異なるため、酷いニキビに悩まされている方は医師などの専門家に相談することをお勧めします。
クレンジングオイルはニキビを悪化させる?
「クレンジングオイルがニキビを悪化させる」というのは、スキンケアの話題でよく耳にする主張です。この主張の妥当性について検証し、クレンザーがニキビ肌にどのように作用するかを詳しく見ていきます。クレンジングオイルとニキビの関係を理解するためには、まず各クレンジングがどのようにニキビ肌に作用するかを確認することが重要です。
クレンジングオイル:
クレンジングオイルは、メイクや余分な皮脂を溶かし、深い洗浄力を提供するために用いられます。しかし、油分が多い成分のため、しっかりとすすがないと毛穴を詰まらせ、ニキビを悪化させる可能性があります。ニキビ肌の方は、この点に注意が必要です。
クリーム・バームクレンジング:
保湿力の高いクリームやバームクレンジングは乾燥肌向けですが、油分が残留しやすい場合があります。ニキビ肌の場合、毛穴の詰まりを防ぐために、オイルクレンジング同様、洗顔後のすすぎが推奨されます。
ジェルクレンジング:
軽く、一般的にオイルフリーで、毛穴を詰まらせずに洗浄するため、脂性肌やニキビ肌に適しています。しかし、オイルクレンジングと比べて濃いメイクの落とし方に難がある場合があり、濃いメイクには注意が必要です。
ミルククレンジング:
やさしく保湿し、油分が少ないため敏感肌やニキビ肌に適しています。ただし、しっかりメイクを落とすには他のクレンザーと併用することが必要な場合があります。
それぞれのクレンジングには特有の特性があり、ニキビ肌の方が注意すべきポイントはクレンジングオイルに限ったことではありません。多くの人がニキビを思春期の脂性肌に関連付けて考えるため、「皮脂の過剰がニキビの原因」とされ、「油分が多いクレンジングオイルはニキビを悪化させる」と信じられがちです。この考えが、クレンジングオイルはニキビ肌には避けるべきだとする主張の根底にあることが多いのです。
しかし実際には、クレンジングオイルの油分よりもその「洗浄力の強さ」がニキビ悪化の要因に深く関わっています。そのため、ニキビ肌にとって適切な「洗浄力」と「保湿力」のバランスが取れたクレンジングオイルを選ぶことで、ニキビのない健康な肌が目指せます。
二キビ肌にクレンジングオイルを使用するメリットは?
クレンジングオイルは、オイルベースの成分を使ってメイクや日焼け止め、余分な皮脂を肌の自然な潤いを損なわずに取り除くフェイシャルクレンザーの一種です。オイルクレンジングの基本原理は「同じものが同じものを溶かす」という考え方に基づいており、オイルには皮脂やメイク、日焼け止めなどの油性の汚れを効果的に分解し、肌から簡単に取り除く特有の性質があります。従来の泡立つ洗顔料とは異なり、クレンジングオイルはこれらの不純物を引き寄せ、肌のバランスを崩さずに洗い流せるため、ニキビ肌にとってバランスの取れた保湿バリアをサポートし、ニキビの発生管理に役立つ選択肢となります。
一方、その他のクレンジング剤は皮脂やメイクなどの油性の汚れを分解するために、強い界面活性剤を使用する必要があるため、余分な皮脂だけでなく肌に必要な潤いまでも奪い、乾燥を引き起こすリスクがあります。乾燥した肌は、過剰な皮脂を生成してバランスを取ろうとするため、毛穴が詰まりやすくなり、ニキビの悪化につながる可能性があります。そのため、オイル成分の自然な洗浄力を活かしたクレンジングオイルは、ニキビに悩む方にとって効果的な選択肢となり得ます。
ニキビ肌におけるクレンジングオイルの注意点とデメリット
ニキビに悩んでいる方にとって、クレンジングオイルにはデメリットがあるため、その点をまずは正しく理解することが重要です。ニキビ肌で悩む方に対するクレンジングオイルのデメリットは、強すぎる洗浄力が挙げられます。しかし、クレンジングオイルの特徴を理解することができれば、最適な選択をすることが可能です。
クレンジングオイルは、主成分である油分の種類で主に3つに分類されます。この油脂の種類がクレンジングオイルのメリットとデメリットの両方に大きくかかわる「洗浄力」と関係してきます。
主な種類は、以下の3種類です:
炭化水素系
エステル系
油脂系(天然油脂系)
炭化水素系
炭化水素系クレンジングオイルは、ミネラルオイル(炭化水素油)を主成分としたクレンジングオイルで、その原料は石油や石炭などから作られています。
主な成分には、ミネラルオイル(鉱物油)、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテン、スクワランなどがあります。
特徴としては、クレンジングオイルの中でも特に洗浄力が強く、濃いメイクや落ちにくいメイクを落とすのに効果的です。またさっぱりとした洗いあがりになり、比較的安価な原料であるため、低価格かつ洗浄力を訴求するクレンジングオイルに多く用いられています。
通常の肌の状態においては、しっかり落とせて価格もお手頃なために重宝するクレンジングですが、ニキビで悩む人にとっては、洗浄力が強すぎて、かえって皮脂生成を進めてしまい、ニキビを悪化させてしまうリスクがあるため使用を控えることが重要です。
エステル系
エステルは脂肪酸とアルコールが結びついてできた化合物で、洗浄力が高いものの、炭化水素ほど洗浄力が強くないため、肌への負担が少ないことが特徴です。ただし、乾燥を引き起こす可能性があるので、ニキビ肌の方は注意が必要です。
主成分には、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリエチルヘキサノインなどがあります。
天然油脂系
植物から抽出される天然油脂は、「微親水性」という水に混ざりやすい構造を持っているため、肌に必要な油を取りすぎずに洗浄することができます。また肌の構造成分に近く、肌への親和性が高いため、刺激が少ないことが特徴です。これにより、過剰な脱脂を避けつつ、メイクや余分な皮脂を落とすことができます。また天然油脂は、肌の保湿成分としても機能するため、ニキビの原因を引き起こす肌の乾燥を防ぐことができます。
代表的な天然油脂には、マカデミア種子油、オリーブ果実油、ホホバ種子油、ヒマワリ種子油、アルガニアスピノサ核油、トウモロコシ胚芽油、コメヌカ油などがあります。
この他にも近年の研究において、一部の植物油にはニキビの炎症を抑える効果(抗炎症作用)やニキビの原因菌の繁殖を抑制する効果(抗菌効果)が確認されています。
このようにクレンジングオイルと一言で言ってもその成分によって、特徴は大きく異なります。ニキビで悩んでいる方は、手軽に使用できメイクや皮脂を簡単に落とせる一方で「洗浄力が強すぎる」炭化水素系クレンジングオイルの使用は控えることが重要です。「洗浄力」と「保湿力」のバランスの取れた油脂系(天然油脂系)クレンジングオイルをはじめに検討してみると良いでしょう。
ニキビの治療と予防に最適なクレンジングオイルの選び方
ニキビの治療と予防に最適なクレンジングオイルを選ぶには、成分、処方、専門家のアドバイスを慎重に考慮することが重要です。以下の3つのポイントに基づいて、肌に最適な選択をしましょう:
成分一覧を確認する
シンガポールでは、シンガポール保健科学庁(HSA)の規定により、すべての化粧品には含有成分が多い順に表示される成分一覧の記載が義務づけられています。これにより、消費者は商品のパッケージやウェブサイトで簡単に成分を確認できます。天然油脂オイルは高価な成分であるため、天然油脂オイル含有を謳っているクレンジングオイルの中でもその含有量は様々です。成分一覧で、天然油脂オイルよりも先に別の種類のオイルが記載されている場合は、そちらのオイルベースのクレンジングであることを意味します。オイルの種類によって特徴が異なるため、ニキビで悩んでいる方は成分表示を確認することが重要です。
ノンコメドジェニック処方の製品を選ぶ
クレンジングオイルを選ぶ際には、「ノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせにくい)」と記載された製品を探しましょう。ノンコメドジェニックとは、第三者機関によって毛穴を詰まらせにくいことが確認されている商品のみが使用できる表記です。ニキビ肌の方にとってノンコメドジェニック処方の製品は、毛穴の詰まりやニキビのリスクを最小限に抑えるため重要です。シンガポール皮膚科学会のニキビ治療ガイドラインでも、補助治療の一つとしてノンコメドジェニックのスキンケアを推奨しています。しかし、シンガポールを含む多くの国では、「ノンコメドジェニック」という表示に関する公式な規制基準が存在していない点は注意が必要です。そのため、ノンコメドジェニック表示はあくまで参考程度とし、成分一覧を確認することが重要です。
専門家に相談する
これまでに紹介したように、ニキビ肌には「洗浄力」と「保湿力」のバランスが重要ですが、このバランスは肌質やニキビの状態により異なります。自身に最適なクレンジングオイルを見つけるためには、ニキビ治療やニキビケアに経験豊富な専門家のアドバイスを受けることが有用です。専門家のアドバイスにより、肌の特性に合った製品を選び、ニキビの予防と治療を最適化できます。
ニキビ肌にクレンジングオイルを使う際のベストプラクティス
ニキビに悩んでいる方にとって、クレンジングオイルの使い方は、クレンジングオイルの選び方と同じぐらい重要です。これまで2万件以上のアジア人の肌を研究してきた当社肌研究所の研究員が推奨するクレンジングオイルの使い方について紹介します。
基本の使い方のコツ
まずは、肌の性質とクレンジングオイルの特性を踏まえた、基本的な使用方法とポイントを紹介します。
摩擦を少なくするために適量を使う
クレンジングオイルの適量として、3~4プッシュ程(3-4ml)を手に取ります。ノーメイクの時は3プッシュ、日焼け止めやメイクをしている時は4プッシュがおすすめです。4プッシュが多い場合は、2プッシュずつ分けて使用すると顔全体に馴染ませやすくなります。オイルが少なすぎると、肌全体に行き渡らず、メイク残りや摩擦による肌ダメージの原因になることがあります。
皮脂や汚れが気になる箇所から馴染ませる
馴染ませる時の時間の目安は30~60秒です。Tゾーンのような皮脂が多い箇所から始め、乾燥しやすい頬や目元は最後に馴染ませると過剰な乾燥を防げます。小鼻の周りは指2本を使い、細かく馴染ませましょう。
水を少しずつ足して乳化
メイクや汚れにオイルが馴染んだら、少量の水を手に取り乳化させます。オイルが白くなり、さらさらとしたミルク状になれば乳化完了のサインです。
20回程度しっかりすすぐ
乳化後は、約20回のすすぎでオイルと乳化残りをしっかり流し切りましょう。
やさしく水気を拭き取る
清潔なタオルやペーパーで優しく抑えるように拭き取ります。ペーパーを使うとメイクの残りが確認しやすいのでおすすめです。
しっとり感をチェックする
最後に頬のあたりに手を当てて、しっとりとした洗い上がりを確認しましょう。
使用感を高めるポイント
習慣化するとつい忘れがちなポイントを確認し、正しい使い方でクレンジングの効果を高めましょう。
乾いた手と顔で使用する
乳化を防ぐため、必ず乾いた手と顔で使用し、乾いた状態でメイク汚れに馴染ませましょう。
ぬるま湯でのすすぎ(約28℃)
すすぎの温度は28℃ほどのぬるま湯が理想です。温度が低すぎるとべたつく可能性があるため少し冷たいくらいの温度を意識しましょう。
髪の生え際や小鼻のすすぎ残しに注意
乳化後はしっかりすすいで汚れを完全に落とすことが重要です。髪の生え際や小鼻のすすぎ残しにも注意しましょう。
まとめ
最適なクレンジングオイルの選択と使用方法を理解することは、ニキビに悩む方にとって大きな変化をもたらします。本記事では、ニキビの根本原因の理解から、さまざまなクレンジングの種類とニキビへの影響について解説しました。また、クレンジングオイルの利点や潜在的なデメリット、さらには効果的な使用方法についても触れました。
ニキビで悩む方にとって、適切なクレンジングオイルの選択はスキンケアの重要なステップです。専門家のアドバイスを受けることで、使用する製品や方法が個々の肌のニーズに合ったものとなります。当院では、クレンジングの見直しを含めた包括的なアプローチにより、各患者様のニキビの状態やニーズに合わせた治療プランを提供しています。長引くニキビにお悩みの方は、ぜひ当院のニキビ専門医にご相談ください。
This blog post was medically reviewed by Yutaka Shimokawa.
【References】